高畑 勲(アニメーション映画監督)

この映画の明るさはすごい。抵抗し、ごぼう抜きにあいながら、人々は歌う、踊る、笑う。一人一人が昂然と胸を張っている。みんなのあふれ出す命の輝きに胸打たれ畏敬の念を覚える。本土から派遣された機動隊員の顔の死んだような無表情に、私たち本土の人間の沖縄に対するうしろめたさを重ね合わせずにはいられない。辺野古・高江だけでない。沖縄県の島々を自衛隊が新たに基地化し、国は沖縄全体を仮想敵国の“標的”にする気なのだ。この映画はそれを教えてくれる。

森 達也(映画監督・作家)

静かに生きたいだけ。なぜそれが許されないのか。
オバアのこの慟哭を伝えたい。
日本人なら観るべき。いや、日本人でなくても観るべきだ。
ラスト、胸が熱くなる。これはまさしく「映画」だ。

金平茂紀(TVジャーナリスト)

風かたか――風よけ。弱いものを危害から守る役割を果たすこと。強い者に媚びる生き方はしたくない。弱い者の側に立ってこそ初めてみえてくることがある。圧倒的多数の側ではなくて、少数の側の声に耳を傾けたい。一色に染まるのは気持ちが悪い。異なったもの、異質なものは、それだけで価値がある! だから沖縄からは、ほら、日本のありようが丸見えになる。新作『標的の島 風かたか』は、風よけになろうとする人間の尊厳のものがたりだ。

松江哲明(ドキュメンタリー監督)

ハッピーエンドがないことを分かっていながらも、結末を見つけなければいけない悔しさが滲み出ていた。「。」ではなく「、」で終わる理由を、もっともっと考えなければいけない。

想田和弘(映画作家)

沖縄の民を排除するために、「本土」から大量の機動隊が送り込まれる。雨の中、女性たちが機動隊青年らの目を見て対峙するが、青年たちは相手の目をまともに見ることができない。ここに「沖縄」の構造が凝縮されている。

武田砂鉄(ライター)

政府は「地球儀を俯瞰ふかんする外交」と繰り返し言う。
その地球儀に、沖縄は記されていないのだろうか。
その地球儀から、踏み潰される珊瑚礁は見えまい。
かく言う私たちも、沖縄の怒りを俯瞰してはいまいか。

ジャン・ユンカーマン(映画監督/『沖縄 うりずんの雨』)

軍事戦略のために70年以上、踏み潰された沖縄。今は更に、本島でも先島諸島でも、米軍も自衛隊も、その犠牲を拡大しようとしている。時代遅れの「安全保障・抑止力」神話に抗して、現実に生きている人々と島々の声をこの映画が届けてくれます。

勝井祐二(音楽家)

沖縄の最前線を見つめる三上智恵監督から届けられた「標的の島 風かたか」は、優しくも鋭く僕らが住んでいるこの国の在り方を問いかけます。映し出される人と人の想いや祈り、音楽や踊りのダイナミクス。
今、体験するべき作品だと思います。

木村草太(憲法学者)

沖縄の唄や踊りには、土地の記憶が刻まれている。
軍事力に故郷が脅かされることへの怒り。
それに多くの人が無関心であることへの悲しみ。
土地の固有性を失った都会の人々は、
その怒りと悲しみを理解できるのか。

ピーター・バラカン(ブロードキャスター)

この映画で初めて知った「エアシー・バトル構想」にはぞっとするものがあります。改めて沖縄を犠牲にしようとするこの国の政府は本当に許せない。まずこれを見て、実態を知りましょう。